長崎県は九州北西部に位置する県です。
全国的に知られている九州弁を使う地方ですが、大きく分けて県南と県央・県北・島原半島・五島列島・壱岐・対馬で方言が微妙に違います。
私は長崎県の県北地方に50年以上暮らしていますので、ここでは県北地方特有の方言やイントネーションなどについて書いていきたいと思います。
◎【きゃ】
語尾によく使う方言です。イントネーションは上がる感じで、英語で言えば「・・・?」と同じような感じです。意味合いとしては「そうかな?」です。
例としては「あの人がまた間違えとるとじゃなかきゃ」→「あの人がまたまちがえてるんじゃないかな」、「俺、もう3杯もビール飲んだきゃ」→「俺、もう3杯もビール飲んだかな」です。長崎県でも県北の方が県南で使うと思いっきり笑われてしまう方言です。
◎【ほめく】
暑い・陽が強いという意味の単語です。イントネーションは平坦です。火照るが語源だと思いますがはっきりとはしません。
例としては「今日はよ~ほめきますなぁ」→「今日はすごく暑いですね」、「あんまりほめくと田の水の足りんごとなる」→「あんまり陽が強すぎて、田の水がたりなくなる」です。この単語はほとんどお年寄りの方しか使っていないので、地元の若者や子供には通じません。
◎【きゃーなえた】
すごく疲れたという意味です。なえたの部分が下がるときには元気がないときの言い方。なえたの部分が上がるときにはまだまだ元気があるという感じです。
例としては「今日は1日中田植えやったけんきゃーなえたばい」→「今日は1日中田植えですごく疲れたよ」、「し慣れん仕事やったけんきゃーなえたー」→「あまり慣れていない仕事だからすごく疲れた」です。農業をやっているかたが多く使う方言です。
◎【はらかいた】
腹を掻くという意味ではなく、腹が立ったという意味です。語尾が上がれば上がるほど怒りの程がわかります。けんかをして怒ったという感じではなく、静かに一人で怒っている様子です。
例としては「あんまり言うけん、はらかいて帰らしたばい」→「あんまり言うから、怒って帰っていったよ」、「あれがなかなか言うこと聞かんけん、俺ばはらかかせるっちゃん」→「あいつが言うことを聞いてくれないから、俺を怒らせるんだ」です。
以上のような方言は、九州以外からくる方には全く通じません。県北人同士でしゃべっていると全然理解できる会話はないようです。
修学旅行などでやってくる中学生や高校生は、こちらの方言を面白がって使ってくれます。
また機会がありましたら、こちらの方言を紹介していきたいと思います。