広島弁と言えば語尾の「じゃけぇ」が有名ですが、
方言であることを意識しておかないと思わぬ誤解を生んでしまう言葉もあります。
・みやすい
広島人「この問題はみやすいねぇ」
東京人「そうかな」
これ、意思疎通ができているようで、誤解が生じています。
広島弁で「みやすい」とは「簡単だ」ということを意味します。
一方、東京で「みやすい」と言うと「見えやすい」という意味に捉えられてしまいます。
つまり、この会話例では、広島人は「この問題は簡単だね」と言っているのに対し、東京人は「そうかな(見えやすいかな)」と受け取っているわけで、誤解が生じているのです。
・ちゃった
広島人「先輩、髪切っちゃったんですか」
東京人「うん」
これも、会話が成立しているように思えますが、このやりとりにはかなりの誤解が生じています。
広島では「ちゃった」を敬語として使います。
つまりこの場合、「先輩、髪を切られたのですか」と丁寧に質問しているつもりなのです。
ところが、東京で「ちゃった」は、過去完了形「してしまった」の意味。
「髪切っちゃったんですか」の受け取り方としては、「髪切ってしまったんですか」となり、反応としては「切っちゃいけなかったかな」というものになるのです。
「ちゃった」の例文としては、次のようなものもあります。
「先生、来ちゃったんですか」
これは東京では問題発言です。
「来ちゃいけなかったのかよ、何だその言い方は」となり、思わぬトラブルとなってしまうでしょう。
丁寧に発言したつもりの「ちゃった」、東京では使わない方が無難です。
・やおい
広島人「このお餅、やおいねぇ」
東京人「?」
「やおい」というのは、広島弁で「やわらかい」という意味です。
語感から、そのまま通じそうな言葉ではありますが、驚くほどわかってもらえません。
また、「やおい」は漫画やアニメの世界でボーイズラブのことを指します。
少しその知識がある人に対して「あの人はやおいよねぇ」などと言うと、「あの人、そういう人だったのね」と、これまた誤解のもととなります。
広島人は「あの人は穏和な性格だ」と言っているつもりなのですけどね。
・紅茶
広島でも東京でも「紅茶」の意味は同じです。
ただ、東京では平坦なイントネーションで発音するのに対し、広島では「こ」にアクセントをつけて発音します。
そのままカフェなどで「紅茶ください」というと、聞き返されることがあります。
・世界史
これも意味は同じです。
東京では平坦なイントネーションで発音しますが、広島では「か」にアクセントがつきます。
「世界史ってさー」と切り出したりすると、通じなかったりします。
「セカ石っていう石でもあるのかと思ったよ」と言われることもあります。
標準語と同じようで、実は全く違う言葉も多い広島弁。
ちょっとイントネーションが違うだけでも、思わぬ受け取り方をされたりしてしまいます。
東京で使うときは、トラブルにならないよう気をつけたいものですね。